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NBOnline: 『会計物語』の林 總氏と『エネルギー』の黒木 亮氏が緊急対談
「粉飾資本主義」が世界を滅ぼす(前編)
企業を破綻に追い込む「利益偏重主義」(後編)
黒木亮は銀行マンから入って証券マン、商社マンを経験した後作家に転じた人で、まだネットでチェックしただけだが久しぶりに小説を読んでみる気にさせる人。林氏は会計士で今まで知らなかったが、この二人が粉飾と利益偏重という今の資本主義が抱えている問題点を指摘し合った対談がなかなか面白い。私がしのごのと拙いコメントつけるよりもまず読んでくれと言いたいところ。
前編ではグローバルスタンダードの会計基準にもグレーゾーンがあることを、デリバティブやSPCの会計評価のしかけ等を例に具体的に説明。後編では「利益」というものの捉え方や利益偏重主義の問題点も含め、粉飾が生じる背景とその見抜き方を説明している。内容自体は多かれ少なかれ知られていることも多いが、具体例をいろいろ挙げてわかりやすく説明されているので読み応えがあった。
ホントはグーグルストリートビューの規制を求める意見書を町田市が求めたことについて何か書こうかと思ったんだけど、ネット検索してみるとグーグル経営陣自身が問題点を語っているようで、おいそれと考えをまとめられるものでもなさそうなので保留。最近街中で突然カメラを向けられることが多くなった気がしていたところで個人的には問題を感じる方に一票だが、便利な面もあると思うので行き過ぎに気をつければ良いレベルかなと今のところ思っている。どちらかと言うと、Googleの「検閲」が入るストリートビューそのものよりも、個人が撮った写真を自由にupできる方が怖い。
中村隆英『昭和経済史』 岩波現代文庫、2007年
有沢広巳監修、安藤良雄等編『昭和経済史 中』 日経文庫、1994年
(両方とも初版は1986年)
中村氏は私が学生の頃から経済史の大家として知られていた。何を突然経済史の本を買い集めているのかって感じですが、もともと経済史をちゃんと読むならこの人、と長年思っていたので本命に辿り着いたというところだ。尤も日経文庫の方の『昭和経済史』までゲットしたのは野口氏の本を偶然中古でゲットした勢いでかもしれない。
早速中村氏の方をちょっと読み始めたけれど、期待通りという感じ。講義録を文章にしたものなので、「ですます」調と「である」調がごっちゃになっていたりところどころ体言 止めになっていたりだが、そんなことはどうでもいいという位に読みやすい。その時々の政権の経済政策の記述もあり当時の産業構造の記述もあり、生活者の視点からの記述もありで視点が広く解説に厚さを感じる。戦後高度成長の原型は国家総動員体制にあったという記述も立法例つきでちゃんとある。憲政会と政友会による二大政党政治の構図の説明も、経済政策を比べるとわかりやすい。昭和という時代に関東大震災後の都市化が始まった旨の記述などは多少関東(東京)寄りの史観かもしれないけれど、この頃に昭和通りと靖国通り(「亀戸から…新宿へ抜ける」とぼかしてある)を十字の軸に開発が進んだ等とあって当時はまだ東京の中心が今よりも東側にあったんだなと感慨深い。高橋是清の経済政策がケインズを先取りしていたという話は巷ではよく聞いていたが、やっぱりへぇー!という感じ。太平洋戦争に突入していく様子も、日中戦争の長期化に伴い対英米関係が悪化していった為に英米からの輸入に頼らない資源確保を迫られていたという経済の視点で見るととてもわかりやすい。読み終えたら追記するかまたmixi日記の方にコメントする予定。
日経文庫の昭和経済史の方は、先日の日記にも追記したことだが、もともと1986年に一冊になって出版されていたものを内容を変えずに上中の二分冊にして再出版し下巻を新たに付け加えたもの。下巻は日経新聞の論説委員二名が執筆していたが、上中巻は学者やエコノミスト数十名による項目ごとのオムニバス記述だった。こちらにも中村氏も執筆陣に加わっている。
日記が空いてしまったのは、先週の日経文庫のオイルショック以降の経済史をちゃんと読んでいたのと、他にもちょこちょこと買い足していたから。そちらも機会があれば紹介します。
三橋規宏・内田茂男『昭和経済史 下』 日経文庫、1994年
約15年前に会社の生協ブックフェアで購入していたもの。日経新聞の論説委員が執筆した上中下巻もので、下巻はオイルショックからバブル崩壊まで。何故上2巻を買わなかったかというと、当時は高度成長は既に過去の遺産でありバブル以後の経済動向を追うにはオイルショック以後を押さえておけば良いだろう等といっぱしに考えたからだった。パラパラページをめくり、内容が専門的過ぎるように感じて「辞書のように活用すればいいのかな」等と思って長らく本棚の飾りにしていたが、その後知らず知らず経済を独学していく過程でいつの間にかスラスラ読めるようになったようだ。上中巻も中古で出ているので購入検討中。
マスコミ方面の方が執筆しているだけあって、成長率とか為替レート等の数値や、オイルショック当時トイレットペーパー購入に人々が殺到して83歳のおばあさんが足を骨折した話など、新聞読者の側に立った記述が多いので当時の生活がよりヴィヴィッドに想像できる。また、執筆当時は重要だった出来事で今の時代には忘れられてしまった事実があるのが興味深い。具体的には「スミソニアン体制」(固定為替から変動為替に移行する過程で、一度固定為替に戻そうとする動きがあった)や「日米繊維交渉」(日米貿易摩擦と言えば自動車・半導体や牛肉・オレンジ・コメをイメージするが、この本によると始まりは69年から71年にかけての繊維交渉だったようだ)、グリーンカード(マル優等の非課税貯蓄者にカードを発行するという形で虚偽口座を防ごうとしたもので、当時は「透明すぎる(!)」「資金が預金以外に流れてしまう」として中小企業等から反対が強くお蔵入りになったそうな)などなど。今騒ぎになっていることでも数年数十年先の歴史に残るかどうかを常に意識したいものだ(尤も本人確認法改めゲートキーパー法の成立により20数年を経てマネーロンダリング対策の目的で虚偽口座を防止する立法が出来たのも感慨深いが)。また、田中角栄内閣が発足した頃にもインフレターゲティング政策の導入が検討されていたというのは驚きだ。当時は経済学者はこぞって円の切り上げを主張し、逆に政界産業界の方が調性インフレに乗り気だったというから二重に驚き。結局変動為替への移行とオイルショックによる物価高で議論は自然消滅したようだが。
ただ…例によってまだ読んでいる途中だが、細かい事実が多過ぎる気が。既に知っている人が「ああそう言えばこんなことがあったな」と確認するように読むにはいいかもしれないが、いきなり読むとこんがらがりそう(初心者には野口氏の位が時代を掴めてちょうどいいのでは)。また、辞書的に使うには弱いと感じる人は政府や日銀の資料を使うだろう。今は絶版になっているのにはそういう理由もあるのかもしれない。
p.s.
このシリーズ、もとは上中だけで「昭和経済史」として一冊になって出ていたものにオイルショック以降を足して三分冊にしたもので、日経新聞の論説員が執筆しているのはこの巻だけでした。先日中巻をゲットしたけれど、金森久雄、宮崎勇、香西泰などなど著名なエコノミストが項目ごとにオムニバス式に解説しています。もちろん、伊藤隆や中村隆英など学者も。上中巻とも有沢広巳監修。
ブクオフに入ったので中古でゲットしました:
p.s.
読んだ感想その他をmixiコメントの方に更新しました。
「構造変化と日本経済」専門調査会による「平成版前川リポート」の報告がまとまったらしい:
世界の技術・人材・情報の拠点目指す=21世紀版前川リポート
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=535304&media_id=52
http://www.keizai-shimon.go.jp/special/economy/item1.pdf (報告書)
章構成としては1章がグローバル経済と日本の位置づけ、2章が今後日本がめざすべき目標。
グローバル経済が直面する課題としては
1.インフレと貧困、2.資金移動の大規模化、3.地球温暖化の進行、4.賃金格差の拡大
日本の課題として
1.存在感低下、2.競争力低下、3.非資源国としての脆弱性顕在化
まあ偉そうに言うようだけど、グローバル経済に関してはこの程度のことは10年以上前から指摘されてきたことだと思うし目新しい発見でも何でもない。おそらく20代前後の若手調査員の勉強成果のようなものではないか。一方日本の課題としては、巷では指摘されてきたこととはいえ、危機感が感じられるところには目新しさが感じられる。特に資源がないことが国の経済力として弱い、ということがこのように大きく取り上げられるようになったのは石油ショック以来かもしれない。私自身はないものにしがみつこうとするのは無駄だと割り切っていたけれど、最近の原油高から危機感が高まっているのだろうか。
というわけで読みどころは第2章特に後半部分の日本がめざすべき目標の方だろう。資源のない国などと指摘されていたことは後退し(というかほとんど関連づけられていない)、開放的プラットフォーム、人的/技術的/金融資産資本の活用、構造変換が謳われた上で、今後10年の目標として
1.人材育成、2.革新的企業、3.多様なライフスタイルを選択できる安心基盤の4.食産業の再構築も含めた地域社会の自立、5.世界的課題への貢献
がたてられている。
4.では道州制の実現も挙げられていて、個人的にはこちらが一番気になるところ。要するにますますアメリカ化しようということだと思うが、実際このような動きはどの程度具体化しているのだろう?2.の革新(ベンチャー)企業の助成も、最近の会社法改正などもこの点が意識されていると思うが、私自身は簡単に会社を設立できるようになりすぎているのではないかという不安も強い。新しい技術を製品化し流通に乗せる仕組みは従来は大企業内のプロジェクトとして整えられてきたし、品質や安全もその過程で保証されていたと思う。品質についてはISO9000などのような公的スタンダード(従来のJAS等もそうだが)が普及してある程度基盤は出来つつあると思うが、サービスに対する信頼のようなものは一朝一夕に出来上がるものでもない。人材派遣会社の盛衰がいい例だ。
そして何より気になるのが報告書を首相に手渡す映像がないらしいということ:
平成版前川リポートにやる気が無い福田首相
著者の財部氏は首相に「やる気がない」(レポートとしてはよく出来ているから強いリーダーが登場して実現を望むというニュアンス)としているけれど、要するに内閣内でも賛否両論(というか、表立って賛成しているのは太田弘子経済担当大臣だけ?)ということの現れなのかもしれない。
経済学コミュニティに紹介されていた、ダイミヤさん(宮台真司)の分析による
「ホワイトカラーエグゼンプションで得をするのは?」(1/19放送分)、
http://www.tbsradio.jp/pod/
単なる労働問題に留まらず、企業の内需/外需構造とか国際競争力
との関係、ひいては日本の社会構造論(家族・地域の空洞化と企業
共同体の関係、ヨーロッパとの違い等)にまで広げていて面白い。
細かな論点で疑問に思う点は多々ありますが、グローバリズム推進に
より誰が得をし誰が排除されるのか、について考えさせられます。
関心深かった点をかいつまんで大胆に要約すると、
・従来通り、外需中心(加工貿易)型社会でいくには2通り考えられるが
a) 先進他国に先んじた創造的(innovative)生産
→ 日本はこの戦略をアメリカの圧力等により放棄
b) 中国・韓国・インドと人件費競争
→ ホワイトカラー・エグゼンプション法案の背景
宮台氏はこれが日本国民にとって幸せに繋がるのか、
疑問を抱いて批判的。"国際競争力"のある人間=実態は
企業に都合のいい人間だけが生き残る仕組みではないかと。
・内需中心型の社会(家族・地域文化等を大切に)に変えるには
c) 食料・エネルギー・文化の安全保障を考える必要がある
(ヨーロッパがアメリカのグローバリズムを排斥したように)
これを実現するには20年スパンの教育による社会構造変革が必要
39分と長めですが、興味ある方どうぞ。